カネマラ

導入

ブランド名「カネマラ」は、アイルランド西部の街、ゴールウェイの北西に位置するカネマラ国立公園という名高い地域に由来しています。この地域は入り組んだ海岸線や湖に囲まれ、荒涼とした美しさがあり、アイルランドの原風景が残る場所として知られています。

かつてここはピートの採掘場所でもありました。一般的に、アイリッシュウイスキーはスモーキーフレーバーを持たないとされていますが、かつてのアイリッシュウイスキーはピーテッド麦芽を使用していました。

製品名であるピーテッド・シングルモルト「カネマラ」は、その懐古を込めて名づけられたものです。

製法

一般的に、アイリッシュウイスキーは未発芽の大麦と麦芽の両方を原料に使用し、3回蒸溜を行うことで知られています。多くのアイリッシュウイスキーは、軽快で繊細な甘みのスムーズな飲み口が特長です。

しかし、「カネマラ」は未発芽の大麦を使用せず、代わりにピート(泥炭)を焚いて麦芽を乾燥させる唯一のピーテッド・シングルモルトアイリッシュウイスキーです。さらに、伝統的な3回蒸溜ではなく、初溜と再溜の2回蒸溜のシステムを採用しています。これはスコッチのモルトウイスキーの製法と同じです。

「カネマラ」にはノンエイジのバージョンと「カネマラ12年」の2つの製品がありますが、ユニークな香味に魅了される人は多いです。

「カネマラ」はピーテッド麦芽を使用し、クーリー山のスリーヴ・ナ・クロークに湧く見事な軟水で仕込まれます。ちなみに、麦芽のピーテッド・レベルは14ppmです。

1回あたり約6.5トンの麦芽を仕込み、麦汁を得ます。麦汁はステンレス製の発酵槽へ送られ、酵母を加えて約2日間発酵させることで、アルコール度数約8%の醪(もろみ)が生まれます。この醪を蒸溜します。

ポットスチルは初溜1基、再溜1基の1組です。2回蒸溜によって得られるニューメイクはアルコール度数約66%です。このニューメイクは樽熟成によって軽快でソフトな香味を生み出す特性を持っています。

貯蔵熟成樽はすべてバーボン樽です。クーリー蒸溜所の貯蔵庫は、アイリッシュウイスキーの貯蔵でよく見られる縦積み方式を使用しています。これは貯蔵庫の収容力や作業効率に優れた方法です。

こうして生まれる「カネマラ」は、ピーティーというよりもスモーキーと表現する方が正しいかもしれません。しかも、スコッチのアイラモルトで世界的な人気を誇る「ラフロイグ」「ボウモア」とは異なる特長を持っており、重厚で複雑な感覚とは一線を画しています。

アイルランドはエメラルド島とも呼ばれ、その緑の大地の爽やかな風景を連想させます。しなやかでスムーズながら、ピーテッド・レベル14ppm以上のスモーキーさを感じさせるユニークさも魅力です。

「ラフロイグ」や「ボウモア」との飲み比べも非常に面白いです。おそらく、スモーキーな香味の楽しみに、このアイリッシュのピーテッド・シングルモルト「カネマラ」が加わることでしょう。

クーリー蒸留所

アイルランド共和国の首都ダブリンから北へ約67マイル、車で1時間半程度の距離に位置するのが、ダンドークという街です。この街は北アイルランドとの国境に近く、目の前に広がるアイリッシュ海を船で渡れば、ブリテン島のリバプールに到着することができます。

1987年、クーリー社はクーリー半島にあった国営工場でスピリッツやアルコール燃料を製造していた施設を、ジョン・ティーリングが買収して設立しました。ティーリング氏はアメリカ・ハーバード大学でアイリッシュウイスキーの歴史研究を行った人物であり、かつて栄えていたアイリッシュ・ブランドの復興を事業コンセプトとしています。

この新しい蒸溜所は、1989年からポットスチルを用いてウイスキーの製造を始めたばかりです。元々アルコール工場だったため、連続式蒸溜機もそのまま残されており、グレーンウイスキーの製造も行っています。

さまざまな取り組みが行われ、その功績から“アイリッシュの革命児”とさえ称されています。カネマラをはじめ、シングルモルトのターコネルやブレンデッドのキルベガンなど、さまざまな製品を展開しています。歴史は浅いですが、既に国際的な酒類コンテストで多くの賞を受賞し、注目を集めています。

キルベガン

貯蔵熟成においては、クーリー蒸溜所内だけでなく、一部の原酒をアイルランド中部に位置するキルベガン蒸溜所で行っています。タラモアという街は首都ダブリンから西へ車で約1時間半の場所にありますが、キルベガンはそこから北へ10キロほどの小さな村に位置しています。

キルベガン蒸溜所の前身は、特定されている蒸溜所の中で記録に残っている最も古い蒸溜所であるブルスナ蒸溜所(1757年創業)です。1843年にロック家が買収し、ロック蒸溜所となりました。輝かしい時代もありましたが、1953年に創業を停止して以来、そのまま放置されていました。クーリー社が1988年にロック蒸溜所とキルベガンの商標オーナーとなり、貯蔵庫として利用され、また歴史的価値の高いウイスキー博物館としても機能しています。さらに、2007年からは小規模ながら蒸溜を再開し、ブティック・ディスティラリーとしての人気を高めています。

ブレンデッドウイスキーの「キルベガン」は、ブルスナ蒸溜所時代の代表的なブランドを復活させたものです。

商品紹介

カネマラ

フレッシュな4年熟成モルト、フルーティーな華やかさのある6年熟成、バーボン樽由来のバニラの甘みを抱いた8年熟成の原酒をブレンドしました。スモーキーさと共にフルーティーな香りが際立ち、チョコレートのような甘さも感じられます。複雑ながらもスムーズな味わいです。ロックやハイボールでの飲み方がおすすめです。

色: かすかに緑がかったゴールド

香り: スモーキー・新鮮なフルーツ

味: はちみつ・バニラ・チョコレート

フィニッシュ: ドライだが涼やかなスパイシーさが心地よい

ボディ: ライトミディアム