導入
アードモア蒸溜所は、アバディーンシャーのボギー川の東側、ケネスモント近郊に位置しています。文献ではスペイサイドモルトとして語られることも多いですが、蒸溜所の職人たちは「ここはハイランドであり、ハイランドモルトだ」と断言しています。
この牧歌的な丘陵地の風景は、人々を懐かしい優しい気持ちに誘います。近隣にはクラッシュインダーロックの森もあり、豊かな自然に囲まれています。この地域は大麦の生産地であり、ピートや清冽な水の供給が容易で、鉄道の便も良いため、ウイスキー作りに最適な環境と言えます。蒸溜所の守り神は鷲です。
「アードモア レガシー」のラベルには、蒸溜所上空を悠々と舞う鷲の姿が描かれています。
内容
ハイランドの気候風土がもたらす要素が凝縮されたようなシングルモルトです。重さはなく、朗らかでスパイシーな切れ味があります。甘く輝く高揚感のある味わいが特徴です。
独特の優しく柔らかいスモーキーフレーバーは、ピーテッドとノンピーテッドの麦芽を絶妙にバランスよく組み合わせることで生まれています。
ノンピーテッド麦芽の加わりにより、ハイランドの伝統的な香味により洗練されたライトな感覚が加わっています。
テイスティングノート
色: 明るい黄金色
香り: シナモン・トフィー・はちみつ・繊細なピート香
味: クリーミーなバニラ・スパイス
フィニッシュ: シルクのような後味が長くつづく
ティーチャーズとの関係
創業は1898年です。ウィリアム・ティーチャーの息子であるアダム・ティーチャーは、自社のブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ ハイランドクリーム」のモルトウイスキーの安定供給のために蒸溜を開始しました。現在でもキーモルトとして貢献し続けています。かつてはシングルモルト市場にはほとんど流通せず、カルトウイスキーのような存在でした。
「ティーチャーズ」のためのスモーキーなモルト作りは変わることがありません。ブレンドに使用される香味は、ピーテッド麦芽を使用した心地よいスモーキーさと、麦芽を効かせた甘くて豊かな味わいとの評価があります。ハイランドの伝統的な香味スタイルを象徴するモルトウイスキーとも表現され、しなやかなピーティーさや果実味、複雑さを備えています。
スモーキーフレーバー
ウイスキー、特にモルトウイスキーの香りや味わいの特長のひとつに「スモーキー(煙っぽい)」や「ピーティー(ピート様)」という表現があります。
日本語で言い表すと「燻香(くんこう)」であり、いぶしたような感覚を指します。
これはモルトウイスキーの原料である大麦麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭、草炭)を焚いて大麦の発芽を止めることに起因しています。
この製法で作られる麦芽を「ピーテッド麦芽」と呼びます。
かつてはすべてがピーテッド麦芽を原料としていましたが、最近ではスモーキーやピーティーさを強く感じさせない、またはピートを使用しない「ノンピーテッド麦芽」を原料としたモルトウイスキーが主流となっています。
「ラフロイグ」「ボウモア」「アードモア」「カネマラ」のシングルモルトウイスキー4ブランドは、そんな時代の流れの中で伝統的な香味世界を守り続けています。
まさにウイスキー作りの源流、原点であるピーテッド麦芽由来のスモーキーさに魅了されます。